今回はこのIPv4の枯渇問題ついて説明していくよ。
2019年11月25日にRIPE NCC(ヨーロッパIPリソースネットワーク調整センター)がIPv4のIPアドレスが枯渇したことを発表しました。
すぐにインターネット利用者に問題が起こるわけではありませんが、今後一般ユーザーにどのような影響があるのでしょうか?
ここからIPv4の枯渇に関して説明していきます。
IPv4アドレスの枯渇とは?
パソコン等インターネットに接続する機器はすべて、IPv4やIPv6というルールでつけられたIPアドレスという固有の番号が振りつけられます。
IPv4の枯渇問題とはIANA (Internet Assigned Numbers Authority)が振り分ける43億個のグローバルIPアドレス(IPv4アドレス)の残りが無くなってしまったということです。
ユーザーに影響がすぐ出るというわけではありませんが、今後影響が出ないとも限らないのでIPv4の枯渇問題について解説していきます。
IPv4の枯渇問題で起こる問題点
IPアドレスの枯渇により影響があるといわれるのがISP(インターネットサービスプロバイダ)やデータセンター事業者などIPアドレスを使ったサービスを提供している企業です。
これらの企業の場合、サービスの提供をするためにはIPアドレスをユーザーに提供しなければいけません。
しかしIPアドレスの在庫が無くなってしまったら、ユーザーを増やすことが出来ないためビジネスの拡大が難しくなってしまいます。
また、街中で利用できるWiFiスポットなどの増設にも影響が出るともいわれています。
でも、それって私たち一般のユーザーに何か影響ってあるの?
IPv4の枯渇問題の対策がIPv6
IPv4は10年近く前から枯渇することが予想されていましたので、当然ですが対応策も検討されていました。
そのIPv4の枯渇問題の対応策がIPv6です。
現在世界的にIPv4からIPv6への移行がすすめられてきています。
IPv4は32ビットでIPアドレスを管理していますので割り振れるIPアドレスの数は約43億個となっています。
その43億個のIPアドレスを使い切ってしまったということになりますが、IPv6はIPアドレスを128ビットで管理するためほぼ無制限に振り分けることが可能になります。
ただしこれには問題もあって、IPv4とIPv6は技術的な仕様上相互に通信することができません。
そのため仮に自宅のネットワークをIPv6にしてもIPv4にしか対応していないサイトの閲覧はできなくなってしまいます。
そこでその対応策としてIPv6をIPv4でも利用できるように変換する技術が開発されてきました。
v6プラスやtransixについては【IPv6なのに遅い!?IPv6に必要な設定とおすすめのインターネットについて】を参考にしてね
そもそもIPv4とは?
IPv4は《 Internet protocol version 4 》の略で、インターネット上のパソコン同士のデータ通信に使われるルールのバージョン4ということです。
IPv4はパソコン同士の通信で相手のパソコンを特定するために電話番号のようなものでインターネットにつながる機器にはすべてアドレスが割り当てられます。
IPv4のルールで割り当てられるアドレスをIPv4アドレスといい、IPv4で割り当てられる番号は【192.168.100.100】のように3桁の数字の4組から成り立つ番号。
振り分けられる数が約43億個となり現在一般的に用いられる通信規格です。
その対応策がIPv6だよ
IPアドレスのおさらい
現在IPアドレスはIPv4アドレスとIPv6アドレスがありますが、ここでは現在最も一般的なIPv4について解説していきます。
IPアドレスは大きく分けてグローバルアドレスとプライベートアドレスに分かれています。
まずはグローバルアドレスとプライベートアドレスについて解説していきます。
グローバルアドレス
グローバルアドレスとはインターネットに接続された機器に割り当てられた番号で、インターネット上でデータ通信を行う場合にはグローバルIPアドレスが必要になります。
IPアドレスはIANA (Internet Assigned Numbers Authority) がIPアドレスをプロバイダに振り分けます。
プロバイダはIANAから振り分けられたIPアドレスを一時的に契約者に振り分けます。
動的IPアドレスと固定IPアドレス
プロバイダから割り当てられたIPアドレスには【動的IPアドレス】と【固定IPアドレス】と二つの方法で割り当てられます。
一般的に利用される方法は動的IPアドレスでプロバイダーは契約者に自動でIPアドレスを割り振りするため、いつどのタイミングでIPアドレスが変わるかわかりません。
動的IPアドレスはIPアドレスが固定されないため、IPアドレスを指定した外部からのアクセスなど攻撃を受けずらいメリットがあります。
その反面WEBサーバーの公開が難しかったり、銀行などのオンライン決済が利用できなかったりすることもあります。
一方固定IPアドレスは動的IPアドレスと違い、プロバイダから契約期間中同じIPアドレスを割り振りしてもらうことです。
固定IPアドレスにすることで、WEBサーバーの構築が可能となったりネットバンキングなど固定IPアドレスでしか利用できないサービスが利用できるようになります。
また、固定IPアドレスであれば外出先から会社や自宅のパソコンにを操作したり、ネットワークドライブのファイルの操作なども可能になります。
ただし固定IPはIPアドレスを個別に管理する必要があるため、通常の料金のほかに固定IPの料金が発生します。
プロバイダ名 | 初期費用 | 月額料金 |
---|---|---|
ビッグローブ光 | 8,000円 | 3,500円/月 |
So-net光プラス | 無料 | 1,200円/月 |
@nifty光 | 5,000円 | 2,650円/月 |
enひかり | 2,000円 | 700円/月 |
IPアドレスの料金はプロバイダにより大きく変わります。
なかでもビッグローブの固定IPアドレスは高額であまりおすすめできません。
固定IPを利用するならば月額料金の安いenひかりがおすすめです。
固定IPが格安で使えるenひかりはこちらから
グローバルアドレスの確認方法
あまり利用することはありませんが、自分の使っているグローバルIPアドレスを知るにはどうすればいいのでしょうか?
簡単にグローバルIPアドレスを確認するにはこちらのIPv6接続性テストのサイトで確認することが出来ます。
1段目の表示が現在利用中のグローバルIPアドレス(IPv4)で2段目の表示が現在利用中のグローバルIPアドレス(IPv6)となっています。
プライベートアドレス
プライベートアドレスはローカルIPアドレスともいわれ自宅や会社のネットワークで利用されるIPアドレスのことを言います。
グローバルアドレスはIANA (Internet Assigned Numbers Authority)が振り分けるのに対し、プライベートアドレスはルーターがネットワーク内の機器に振り分けます。
ルーターが無くてもインターネットに接続することは可能ですが、接続できるのはグローバルアドレスが割り振られる1台のみとなります。
パソコンが複数台あったり、ネットワークプリンタを使用する場合はプライベートIPアドレスを使って機器同士が通信するので、ルーターが必ず必要になります。
自宅でスマホをWiFiで利用する場合にもルーターは必ず必要です。
自宅や会社で1台以上の機器を同士を接続する場合に用いられるのがプライベートIPアドレスということになります。
プライベートIPアドレスの確認方法
自宅や社内で複数のパソコンを利用していると、まれに「IPアドレスの競合が検出されました」といったメッセージが表示されることがあります。
IPアドレスは重複して割り振りされることはありませんが何らかの理由でIPアドレスが重複してしまうことがあります。
そのような時に自分のパソコンが利用しているパソコンのIPアドレスがわかると管理者やトラブルの対処に役立ちます。
プライベートIPアドレスの確認方法は調べたいパソコンから以下の操作を行います。
- タスクバーのスタートアイコンの横にある【〇ここに入力して検索】のボックスに【cmd】と入力しキーボードのenterを押す。
-
コマンドプロンプトの画面が出たら、点滅しているカーソールのところに【ipconfig】と入力しキーボードのenterを押す。
-
図のように文字がたくさん出ていきますが、その中のIPv4アドレス(この図では192.168.1.16)がプライベートIPアドレスです。
一般的にネットワーク管理者や自分のネットワークの競合でIPアドレスを調べる場合にはこのプライベートIPアドレスを用います。
パソコンがWindows10になりネットワークの設定も以前に比べ格段に簡単になりました。
そのおかげでIPアドレスを気にする必要はほぼなくなりましたが、インターネットに繋がらないなどのトラブルの際には、IPアドレスのことも知っておくとトラブル解決の近道になります。
まとめ
IPv4アドレスの枯渇問題は一般の利用者にとって現時点ではあまり大きな問題ではありません。
枯渇したからと言って急にインターネットが使えなくなるようなこともありません。
しかし技術者やオンラインでサービスを提供する側にとっては非常に深刻な問題です。
IPアドレスを新規で割り当てることができないということはサービスの成長の妨げとなる恐れがあります。
これは将来的には一般の利用者にも影響する可能性のある問題ですが、その対策としてIPv6に移行する必要があります。
ただし残念ながらこれにはエンドユーザーにできることはありません。
サービスを提供する側の対応が必要です。
現時点ではそれほど大きな問題ではありませんが、今後どのような問題に発展するかは不透明な部分もあります。
インターネットサービスプロバイダや、よく閲覧するサイトのIPv6の対応を今まで以上にチェックしておく必要があるでしょう。